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土産物

過去作の再掲載です。
人形焼き化+人形化の話。


繁華街の先の商店街。そのまた先には団地がある。
数十年前は景気の好調もあり、次々と馬鹿みたいに住宅地が広がっていった。
今現在。そんなことなどなかったかのように静まり返った団地。
だがそんな場所にもわずかな変化が訪れた。
温泉が湧き出、山頂に宿泊施設付きの銭湯が建設された。
だが所詮温泉と言っても場が場。こんな観光場もない山中まで来る人など皆無に等しい。
山頂ということで一番の期待である老人もそこへの道のりの一つ、階段のため敬遠している。
そんな銭湯のある日。
GW中ということもあってか、家族連れといった今まであまり見ることのなかった客がやってきた。
客の少ない事も多いせいか従業員の業務はけっして良いとも言えない。だが、訪れた客はそこそこ楽しめているようである。

「ねーねー。なにかかってよ~」
「と言ってもな。お前の好きそうなのなんて、ここにはないと思うが」
「え~。リカちゃんとかないの?」
温泉地お決まりの土産屋。唯一の売店だが、場所も場所のため大した品。特に子供の喜びそうな者は無いに等しい。
ねだる子をなんとか諦めさせようとする男。よくみる娘と父の微笑ましい光景である。
「でもこれなんかいいんじゃない?」
少し離れた場にいた母親が二人に言う。
お決まりの饅頭や煎餅。それに人形焼き。ガラスケースに包まれたモデルがズラリ。
「お、確かに美味そうだな。どうだ千佳。美味しそうじゃないか?」
「や~だ~。リカちゃんがいい~。お人形がいいの~」
「今度買ってあげるから。とりあえず今日は…この人形焼きにしようかな」
父親がそう言い、ケースを上げ商品を取ろうとする。だが、その下にはなにもない。
「あれ? 品切れ?」
他の商品も見てみるが、あろうことが食品の土産物はほとんど完売状況であった。
「おいおい~、もっと用意しておけよ」
「あ、申し訳ありません。何をお買い求めですか?」
近くにいた店員がその状況に気づき駆け寄って来る。
ある程度状況を説明すると青年は腕を組み、様々な場所に視線を移しながら考え込む。
「う~ん、ひぃ、ふぃ、みぃ…」
最後にその家族を見つめ、
「えっと6、この子は…可哀そうだけど7。うんよし。」
独り言を言い終え、
「…少し、お時間かかるかもしれませんがよろしいでしょうか?」
「いいけど、在庫あるの?」
「いえ、本店の人形焼きは僕のおばあ…いや、私の祖母の手製のものでして。それで在庫はあまり多くないんです。
あ、でも裏にいるはずなので一声かければ貰えると思います。心配しないで下さい味は最高級です」
まぁこんな場所まで来て手ぶらで帰るのもなんだ。そう思った父親は、もう少しここに滞在しようと提案する。
母、娘ともにそれを承諾し彼等はおそらくもう一風呂浴びてくるのだろう。浴場の方へ向かった。
「さてと…おいしい人形焼きでも作るか」

そう言うと彼は、
①自販機の方へ行った
②店の奥に消えた。




「えっと、コーラコーラっと」
「おお、夏道じゃないか!」
「あ、おばあちゃん!」
自販機の隣のベンチに腰かけていた老婆によって引き止められる。
「どうじゃ?饅頭は足りたか?」
「いや~もう即完売。さすがばあちゃんの饅頭だよ。その流れで他も殆ど品切れでさ、今から調達いくとこ」
「調達…。まさかお前、またあの怪人使う気か?」
「うん、そうだけど」
「…材料は?」
「その辺の客を少々…って痛い!」
青年が言葉を発した瞬間。老婆の鉄拳が彼の頭部に降り注がれた。
「この馬鹿もんが!!お客様は神様だと教えたじゃろきに!!」
「なんで方言!?あ、痛!痛っ!わ、わかったって!!」
老婆の制裁が終わり、
「で、でもじゃあどうすんの?客とは約束しちゃったし」
「敷地外から調達してこればいいじゃろ?」
「でも白昼堂々そんな数調達できないよ」
「何か代理のもんにすればいいだじゃろ?数少なくてもいいもんに。あの怪人、用途によっては色々使えるぞ」
「は、はぁ…」

銭湯から長い階段を下り、約100m進んだ先にある公民館。公民館とは言ってもそれなりの設備で、
そこそこの宴会場やホールがある。
そこで毎週火、木、土曜にここで新体操の練習が行われている。
今日はその練習日。小学生を中心に厳しい練習が行われていた。
「あ~キツイ~」
「ホント、先生恐いよね…」
休憩時間なのかサボりなのか、女子トイレの流し台で談笑する2人。
年相応の顔つきに細く綺麗な身体。菓子食ってデブデブになった方に見せてあげたい程の美しさ。
まさに新体操の鏡というべきスタイルの子らであった。
「あ、そろそろ戻んないとヤバいよ」
「うん…って、肝心な用を忘れてた」
「もう~なにしにきたんだか~」
笑いながら片方の子が個室に入る。少し長い瞬きをし、開けた瞬間。
「……え?」
目の前にあったのは便器ではない。遊園地のヒーローショウなんかで出てきそうな怪人の…大きな口。
ガブリ
不気味に涎を垂らしたその口は、少女に抵抗を与える間もなくかぶり付き、飲み込んだ。
コンコン
「ね~、まだ~」
あまりの遅さ、及び反応のなさに不審に思い、扉をノックする。
「…ダイジョウブだよ」
「…?」
聞き覚えのない声、およびソレが扉の向こうではなく、自分の背後から聞こえ、
「だ、だれ!!」
即座に振り替える。
・・・・・・・・・・
目の前に、見知らぬ化け物。
「……ヒ」
涙を浮かべ叫ぼうとした瞬間、その怪人の大きな手が彼女を捉えた。
「ん―――!」
口を塞がれ、声も出せない。力の差も歴然。
「お、いい物見つけたね~。極上だよ(グゥ)」
トイレの窓から、ある青年が入り怪人に声をかける。
「食べないの?」
「…イッコメ、ショリチュウ」
「あっそ」
その瞬間、怪人の尻尾がムズムズと動き始めた。
奥底から何かが膨れ上がり、ある粘液に包まれた物体を吐き出した。
「お、出来た出来た」
ハンカチを取り出し、それでその物体を取る。
液体を流すとそこには手のひらサイズの一体の人形があった。
服は身につけておらず、その顔、その身体、最初に飲み込まれた少女そっくりであった。
直立姿勢で微笑んだ表情のである。
「…な、なにソレ?…ねぇ…」
もう一人の少女はそんな様子をまだ良く理解できていないようだった。まぁ理解するという方が難しいだろう。
そして怪人が少女を自らの口に近づける。もちろん少女は必死に抵抗する。
だが、なんなく運ばれ楽に食べられてしまった。
ムグムグ…
そんな音が怪人の口から聞こえるように感じる。
「どう?味は?」
「…結構おいしい」
「あっそ」
しばらく立ち、また怪人のしっぽから粘液に包まれた物体が吐き出される。
青年はそれを取り、ハンカチで粘液をある程度拭きとる。
さきほどの少女と同じように、人形となった少女があった。
「養分を吸い取られた亡骸は人形として使えるから便利だよな」
そういって、もう用のないこの場を後にした。

「どうですか?ありました?」
風呂あがりの親子がようやく出てきた。青年は少し申し訳なさそうにして、
「すみません…。ちょっと在庫がなくって。あると思ったんですけど…。あ、でも代わりにこんなのは…」
青年はそう言いながら、一部透明な箱に入った人形を取り出す。
「…これは?」
「さっきお譲さんが人形が欲しいみたいなこと言ってたんで。もしよかったらと…」
「う~ん、でもな…。温泉で人形って」
「わ~、可愛い!」
「ホントにね~」
悩む父とは裏腹に、娘は買ってもらう気満々で大喜びである。
「…仕方無い。おいくらですか?」
「おおまけで、千円でいいですよ」
しぶしぶ財布から札を取り出し青年に渡す。
人形をはしゃぐ娘に渡し、嬉しそうにその場を去る。
「お客様は神様ですからね…。またのお越しを」




「うわー。ひろい!」
風呂場に一足先に入った娘の千佳は、その光景に観気を挙げた。
「昨日も入ったでしょ」
「でも、きのうとちがう!」
「あ、昨日と男女入れ替わってるんだっけ…」
などと会話しながらまず流しに向かう。

「でさ~。それで佐藤やつ、どうしたと思う?」
「う~ん…落ち込んだ?」
「ううん。…本気にしてマジで告っちゃったんだって!」
「ウソ~。キモ~い」
時刻は昼だが、近くの学校では部活後にこの場にくる学生が多い。
彼女らも近くの中学か高校の子らだろう。
「あ~ら、それでどうなすったの?」
「それでね……なんですって!」
「やぁ~だ、面白い!!」
「でしょ~。ぶほほほほほほほほ」
「どほほほほほほほほ」
甲高い声をあげるオバさん。彼女らも来るのは日常茶飯事。
少し時間が達ち。
奥でまだ談笑していた年配が、突如立ち上がり
「あら。私上がらないと」
「奇遇ですわね。私も何だか急に上がりたくなって」
「実はあたしも…」
湯船に浸かってた年配の人全員が突如浴場から出て行く。
その様子を親子は
「…どうしたんだろう?」
「何でだろうね。あ、でもお風呂が全部使えるよ。」
「わーい」

着替え室。さっきまで談笑していた面々は黙々と着替え、素早く浴場を離れる。
そんな様子を今から入ろうと考えていた面々は、
「…ねぇ、あの人たちさっき入ったばかりだったよね?」
「うん。変なの」
「それより早く入ろうよ!もう明子たちあがるかもよ」
彼女らも付近の学生なのだろう。さっさと服を脱ぎ、浴槽を行こうとした瞬間。
ズシ~ン
この場に似つかわしくない、音が鳴り響く。巨大ロボットでも徘徊しているかのような。そんな音。
浴槽へ行こうとしていた学生ら3人は、何気なく振り返る。
「…PPPPPPP」
巨大な…メカ。大きな鉄板二枚を挟んだような物を突き出し、どう見ても自分の体重を支えることが不可能なような巨体。
「「「…え?」」」
あまりの非現実的なことに3人とも言葉を失う。
「…PII 良質の素材3個発見。直ちに料理開始…」

「…ね~、さっき向こうでなんか音聞こえなかった?」
「着替え室で?…いや、聞こえなかったけど」
「……なんかアレだからちょっと私見てくる!」
「…って、おい!…あれってなんだよ」
・・・・・・・・・・・・・
「仕方無い、私も見てこようっと」

少し時間がたち、大浴場。
不思議なことに今この浴場には、客はあの親子しかいない。
誰もいないと言う事に大喜びな娘は、その広い風呂を無邪気に泳ぎ回る。
「千佳~。誰か入ってきたら止めなさいよ」
「はぁ~い!」
本当に聞いていたのか分からないような返事をするが、母は楽しむ娘にとくに言わない。
また少し泳ぎ回り、しばらくして風呂からあがる。
「トイレいってくる!」
「場所分かる?」
「うん」
じゃあ行ってきなさい。そう母は娘に言い、娘は裸体のまま着替え室へ走っていき、母は両手両足を精一杯のばしリラックスする。
「…あー。良い気持ち…」
「…き、きゃああ―――――!!」
半目状態だった母の目が一瞬で開く。
辺りを見渡し、その悲鳴が娘のものだと気づいたとき、何も身につけず大慌てで風呂から這い出る。
「千佳ぁ――!」
大慌てで着替え室に入る。そこには涙を浮かべ腰を抜かした娘と、
「…な、なにこれ?」
大きな、怪物のような機械。どうみても電気店に売ってるような物じゃない。そもそも用途が分からない。
「……更に良質の素材2個発見。…これより調理開始」
その機械はそう言うと、大きく透明なコップのような物を取り出す。
得体のしれない怪物の出現に二人は戸惑い、母は娘の元に駆け寄り逃げ出そうとする。
だがそんな、まるで養鶏場の鶏を捕獲するかの如く、怪人は難なく娘と母を捕える。
ケースの中から二人は必死になって外に助けを求める。
「千佳ぁ―――!!」
「お母さ~~ん!!」
だが機械は淡々と、
「シェイク」
と言った瞬間、二人を入れた器はまるでミキサーのように回転を始める。いつのまにかカップに蓋までしてある。
カップは目にもとまらぬ速さで回転を始める。最初中から助けを求める二人の声が聞こえたが、
回転が激しくなるとすぐに聞こえなくなった。
10分くらい回転が進み、それが徐々に弱くなる。つまり、ゆっくりと回転が止む。
だが、その容器のなかに二人親子の姿はなかった。
だが消えた訳ではない。
中には粘度の高そうな肌色の液体があった。母が入ってた容器より娘が入ってた容器の液体の方が量が少ない。
それから考えてもその液体が二人親子だったものだと分かる。
機械はそれを確認すると、蓋を外し巨大な鉄板を取り出す。
そこには、人型の形に空いた穴が8つあり、そのうち5つは別の液体で埋まっていた。
残りの3つのスペースのうち、2つに親子だった液体を流し込む。
全て入れ終えると、その鉄板に蓋をする。そして、自分の腹中央にあるオーブンの中に入れる。
「ニンムカンリョウ」
機械はそう言い放つと、ドシドシと浴場を後にした。

「お、出来たか?」
青年が帰ってきた機械にそう聞く。
先ほどは天井を突き破りそうなほどデカかった怪人だが、今は青年より少し低めの背丈になっている。
怪人はそう言われ、腹から例の鉄板を取り出す。怪人自体が小さくなったためか、鉄板も大分小さくなっていた。
中から香ばしい良い匂いが漂ってくる。
鉄板を開くとそこには、7つに可愛らしい人形焼きが出来上がっていた。液体を入れる穴は同じなのに、
それぞれの人形焼きは、体、顔、髪型がすべて異なっていた。
だが、どれも嬉しそうに微笑んでいる表情ばかりであった。
「おお、上出来だっと……ん?」
青年が何か気付き、端にあった人形焼きを手に取る。
それは表情、形共に抜群のものであったが、他のに比べ全体が明らかに小さい。
「これは…」
その人形焼きがあった隣を見てみる。隣にある人形焼きは、これと顔がそっくりである。
「ああ、あの娘か!……やっぱりこの子じゃ無理があったかな。一個だけ小さいんじゃ商品にできないな。ごめんね」
そう人形焼きに言うと、一礼する。そして、一気に口の中に放り込む。
「う~ん…お、味はなかなかイケるな。カステラみたいだ」
食べ終わると
「ごちそうさまっと…さて、箱詰めするかな」
残りの人形焼きをあらかじめ用意してあった箱に詰め始める。丁度6つ空きがあり、綺麗に収まる。

「ありましたか?」
さきほどの家族の父が、やって来る。すると青年は満面の笑みを浮かべ、
「ほら」
っと、先ほどの箱を見せつける。
「おお。どうも態々…えっと値段は?」
「う~ん…500円でいいや。何せ元手がただだからね」
「ん?何か最後に言いました?」
「いいえ。さ、どうぞ」
青年は人形焼きが入った箱と500円玉を交換する。
「まいど、ありがとうございます」
父親は買い終えると、それを持ち一人で帰って行く。
途中何かを思い出したのだろうか、立ち止まるが、気にせず帰っていった。
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